あらすじ
父や義母、義妹から虐げられ、森の管理小屋で一人逞しく生きてきたフローラ。
森の管理人ロンから教わった「森と生きる術」と心優しい侍女マリアンのおかげで幸せな日々を送っていた。
そんなある日、突然父から「お前の嫁ぎ先が決まった。とにかく黙って嫁げ」と命じられる。
その相手は、女嫌いの同性愛者だと噂の辺境伯アルフレッド・グランヴィル。
しかも、フローラに求められているのは期間限定のお飾り妻だった。
このとんでもない契約結婚に「愛情はない関係でも友人のような関係になれたら…」と思うフローラだったが、
アルフレッドから「君を愛することはない。君と接する機会もあまり多くはない」と冷たく言われてしまう。
しかし、アルフレッドの話を聞いていたフローラは、彼が冷たい人には思えなくて…。
感想
タイトルに「ポジティブ令嬢」とありますが、ありえないほどのポジティブじゃなくて、人間味溢れるポジティブさ。
家族に虐げられた悲しみや怒りもちゃんと受け入れた上で、前向きな考え方をするのです。
それが読んでいて自然に共感できる考え方で、幸せに生きるためのマインドを教えてもらったように感じました。
そんなフローラが契約結婚をしたアルフレッドですが、こちらも辛い過去を背負っています。
ただし、フローラとは違うのが傷を傷として背負ったまま囚われているというか…
だからこそ、二人の関係はゆっくり丁寧に描かれていて、そんな二人が結ばれた時の言葉には涙でした。
最後に……嫌な奴だと思っていた義妹が実はそうでもなかった!というほっこりエピソードがけっこう好き。言われてみれば、最初から「あれ?」と思うような行動をとっていたな……。