あらすじ
中学時代にいじめられた経験を持つ赤木加奈子はある日、小学5年生の娘・愛が同級生の馬場小春をいじめていることを知り、家族で馬場家に謝罪に向かう。
加奈子たちの謝罪はその場では受け入れてもらえたものの、小春はその後、不登校になってしまう。
小春の母・千春は苦しむ娘を見て知り合いに相談するが、SNS上での匿名の告発をきっかけに、思いもよらない事態へと発展してしまうのだった──。
感想
いじめをした親子側の心情と、いじめられた親子側の心情がリアルに描かれていました。
いじめをした愛の母・加奈子にはいじめられた経験があり、平気で嘘をついた娘に嫌悪感を抱いてしまい、愛がいじめられることになっても「自業自得だ」と言ってしまうわけですが、娘への愛情もあるから、複雑な気持ちに…
一方、いじめられた小春の母・千春も、いじめが原因で不登校になってしまった娘へのイライラ、不安、葛藤、いじめた愛への憎しみで苦しみます。
この作品が「これから起こりうる(もう起こってるのかもしれないけど)こと」だと思ったのが「SNS」。
いじめをした愛がSNSで告発されたことで事態は最悪な方向に向かってしまいます。
「正義」という名の暴力で愛に制裁をしようとする見知らぬ大人たち、自分たちの子には関係ないと揉める保護者会の出席者たち…
いじめが起こった場合、親や先生、周りの大人たちはどうすればよかったのか…。
最終的に愛たちは、引っ越さなくてはいけない状況になるわけですが、小春ちゃんからの返事に「いじめ」とはどういうことなのかを考えさせられました。