あらすじ
合言葉は「みんなで幸せになろう」。人気エッセイスト・中井ルミンが主宰するオンラインサロンには彼女を慕う大勢のファンが集まる。
子どもの学校の担任との不和、義理の姉との確執、悩みに寄り添ってくれるルミンは尊敬できて、魅力的な存在。だけど何か違和感がある…。
ルミンがブログに綴るのは、中学時代の同級生のSちゃんとの思い出。酪農家の娘Sちゃんは同級生から「牛の糞臭い」とからかわれ不登校になり、そんな同級生たちをルミンが嗜め、彼女の発案でSちゃんに手紙を渡し学校に来るようになったという話。
そのブログをたまたま目にした旧友がいた。「このブログ…うそばっかり。だって沙世ちゃんあの次の日、自殺未遂を起こしたのに…」。
サロンのメンバー、同級生や元夫、仕事仲間、ルミンをめぐる様々な人の思惑と言い分が交錯するミステリーコミックエッセイ。彼女は「いい人」? それとも「悪魔」? 本当のことを言っているのは一体誰なのか―――!?
感想
『優しく親切でみんなに頼られているルミン』と『被害者たちが語るルミン』、本当の彼女はどちらなのかというミステリー。
ルミンと親しくなったことで追い詰められた被害者たち。その被害者(もしくは家族など)たちが語るルミンがあまりにも不気味で怖かった。
何が怖いって、違和感の正体に気付けないほどルミンの言葉が巧妙なのです。責められても、指摘されても、それをかわすことができる?すり替えることができるほど巧妙。
しかも、それを「自分の評価」に繋げてしまうところがもう本当に恐ろしい。
特に怖かったのが、婚約者から略奪して結婚した元夫のエピソードです。略奪系の漫画はよくあるけど、そんなの比じゃない。元夫は良いように解釈をしたけど、あのセリフにはゾッとしました。
最後に主人公の正体が明かされるんですが、自分への復讐さえも自分のものにするルミンに絶句。でも、こういう人っている。これがリアルな結末なんだろうと思います。