未練を残して<死者>となった人たちが生きるロスタイム(タイム制限がある)。
そんなロスタイムを生きる死者たちが、最期に救われるよう…死神である高校生2人が手助けをするというストーリーです。
この漫画のポイントは死者の未練を解消できるわけではないということ。
そして…ロスタイムの時間が終わると、その間に起こったことは全てなかったことになります。
残酷で切なくて美しい―――そんな言葉が似あう作品です。
ではあらすじや感想などを書いていきますね。
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あらすじ
主人公「佐倉真司(高校二年生)」は生きることに疲れていた。
元政治家である父の暴行事件、後に立ち上げた会社も自らの不祥事で倒産してしまう。両親は離婚して残ったのは多額の借金。
せめて高校は卒業したいと考え、アルバイトの面接に行くが…父の事件は知れ渡っており、どこも雇ってくれないのだった。
そんなある日、真司は不思議な男性と出会う。
「随分と人生が行き詰まっていらっしゃる」
「……え?」
「おたすけしましょうか。あなたにぴったりの仕事があるんですよ」
「仕事?」
「近い内に人を行かせますよ。それではごきげんよう」
それだけ言うと男性は消えてしまうのだった。
幻覚でも見たのか…?と思った真司だったが、それは現実となり……
「それじゃあ、佐倉くん。キミを死神として採用するね」
突然家にやってきたのは、クラスメイトで人気者の花森雪希だった。
「キミも働きたいって聞いたからさ、説明するように言われてきたんだ。」
「もしかして、昨日の…?」
「そうそう。私は、<死神>と呼ばれる組織で仕事してるの」
死神の仕事は、未練を残したままこの世に残り続ける<死者>をあの世に送ること。
期間は半年、時給はたったの300円。残業代も交通費もない…しかし、どんな願いもひとつだけ叶える<希望>を申請できるという。
怪しいと思いつつも、だからといって他のところで雇ってももらえない…真司は死神の仕事をすることに。
さまざまな<死者>との交流から、真司が見つけたのは……。涙が止まらない、至上のヒューマンストーリーだ。
ここがポイント
死神について
- 未練を残したまま偽りの歴史(ロスタイム)を生きる<死者>をあの世に送る
- 期間は半年
- 時給300円
- 特典として、どんな願いも一つだけ叶えてくれる
- ロスタイム中のできごとはすべてリセットされるが、死神だけは記憶に残る(退職すると記憶は抹消)
<死者>に与えられる残酷なロスタイム
未練を断ち切れない<死者>には、その人が「生きているはずの世界(ロスタイム)」が与えられる(その偽りの歴史が始まったことは<死者>しか分からない)
最初こそ、ロスタイムを喜ぶ<死者>たちだが、次第にこのロスタイムがいかに残酷であるかということに気付く。
未練を晴らしてロスタイムを終わらせてこの世を去るか…いつ訪れるかわかない時間切れを待ってこの世を去るのか…どちらかを選択しなければいけないのだ。
どうあがいても逃れられない死。そして、どちらを選んでも、ロスタイム中に起こったことの記憶は全てリセットされてしまう。
真司がこれを知ったのは、父親の件で迷惑をかけたくないと別れた元彼女「朝月」との一件だ。
ロスタイムは<死者>しか気付くことができない…それは死神である真司も同じで、朝月は<死者>だったのだ。
それを知ったのは、朝月がこの世を去った翌日。
朝月がもうこの世にいないことを受け止められない真司は深く落ち込むが、あの日の朝月を忘れるなんてできないと思い死神のアルバイトを続けるのだった。
死から逃れられず、誰かの記憶に残すこともできない…ロスタイムの意味とは?
この漫画のポイントは<死者>の未練を解消できるわけではないというところ。
未練を晴らすことができず、最後は自分の人生にあきらめをつける<死者>がほとんどなのだ。
死の運命から逃れることもできず、誰かの記憶に残すこともできない。神様に晴らしようのない未練を突き付けられて、自分の人生は何のためにあったんだと思わせるものでしかない。
では、未練を残した<死者>にロスタイムがあるのは何故だろう。
それは、自分の幸せを思い出すことだと花森は言う。
ロスタイム中の<死者>は苦しいほど自分と向き合うことになる。
しかし、どんな人生でも必ず幸せだった時間が存在して…結果的にその幸せが失われたとしても、幸せがあったことを思い出せるのなら、それは未練を晴らすことよりも大切なことだと。
このシーンが描かれたエピソードはとても泣ける。
「あんな奴でも俺の息子だ」と言うセリフで真実が分かり…衝撃が走った。
感想
原作も読んだので、そちらも踏まえて書こうと思います。
<死者>が自分に突き付けられた現実と自分の未練とどう向き合っていくのか…どの話も悲しいし切ないのですが、目が離せませんでした。
また、二人の結末…二人が希望するものが何のかにも注目してほしいです!大どんでん返しだったので…。
この話を読んでいると何だか「ツナグ」を思い出してしまいます。