余命宣告を受けた大学生の一花。
不確かな命で未来も希望ない一花にとって、唯一の生きる希望は哲学講師の葛木先生でした。
しかし、葛木先生は理由も告げずに突然大学を辞めてしまって――…。
そんなある日、偶然にも葛木先生と再会します。
が…一花は知ってしまうのです。
葛木先生が突然辞めた理由も…どんなに頑張ってもこの恋が死んでしまうことも……。
儚い二人の恋――人生って何だろう、幸せって何だろう。
そんなことを考えさせられる作品です。
では、あらすじや感想などを書いていこうと思います。
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あらすじ
千田原一花は、高校2年の春に医師から余命2年の宣告を受けていた。
それから3年、大学2年になった一花はいつ終わりを迎えるかわからない日々を過ごしている。
そんなある日、彼女は偶然、大学を辞めた元哲学講師・萬木昭文と再会する。
想いを寄せていた萬木先生に出会えたことで一花の気持ちは、ふたたび燃え上がるが――。
はかない生を歩む一花と、静かに消えていこうとする男の、束の間の恋の物語。
ここに注目
世の中は不公平だ。葛木先生が突然辞めた理由…
生きる希望だった葛木先生との再会を果たして喜ぶ一花。
しかし、葛木先生が突然辞めた理由を知り愕然とします。
「死ぬんだってさ、俺。あと一年で」
葛木先生の余命はあと一年。なんと葛木先生も重い病気だったのです。
頑張っても未来がなくても、それでもこの恋を諦められない一花は
「好きです」
と告白しますが…
葛木先生は、いつ死ぬか分からない自分のことは忘れて幸せになってほしい…俺は病気だから迷惑をかけてしまう…と告げるのでした。
そんな葛木先生に必死で自分の気持ちを伝える一花。
「………なんで?病気の俺なんかにそこまで言える?」
「………死ぬほど好きだからです」
この言葉に心を動かされた葛木先生は一花とまた会うことになりますが……。
余命一年の葛木先生。
実は、一花は自分の余命について話していないので、葛木先生は気付かなかったかもしれませんが一花の言葉には重みがありました。
それは、一花自身も感じていたことなのかもしれません。
長生きしてほしいという願いで奪う幸せ
葛木先生に自分の病気の話をすることができない一花。
それは自分自身が病気と向き合えないことにあって……。
そんなある日、一花は葛木先生の前で倒れてしまいます。
それをきっかけに、葛木先生は一花の病について知ることとなるのですが…
このシーンが泣けました。
実は、葛木先生に一花の病気について話したのは一花の弟・大樹。
大樹は、葛木先生がいると一花の寿命が縮んでしまうのではないかと心配したのです。
だから、一花とはもう会わないでほしいと…。
それが一花にバレてケンカになります。
長生きしてほしいと願うことは自分勝手なことなのだろうかと悩む大樹。
そして…
「長生きしてほしいのに、それは姉ちゃんの幸せと違うのかもしれない」
と涙する姿にこちらが涙でした。
「長生きしてほしい」という願いと「幸せになってほしい」という願い…そんな願いに揺れる家族の葛藤も描かれています。
「サヨナラ」のシーンがない別れ
結末に近くなると、葛木先生と一花の病状は悪化していきます。
そろそろお別れなのかな…と思わせるシーンはたくさんあるんですが、二人が大好きな人(達)に「サヨナラ」と言う悲しい別れのシーンはないのです。
もちろん、お葬式のシーンもないし、一花においては家族が涙するシーンもありません。
もしかしたら、葛木先生の遺した言葉…
「もし……俺がくたばっても君は悲しまないでくれるかい?君に会えて僕は本当に幸せだったから。『いい日々だったな』って笑ってくれるかい?」
が伏線なのでしょうか。
遺された人たちが少しでも幸せであるようにと願った二人…その想いが描写されているのでしょうか。
感想
誰かが言う最高のハッピーエンドではないかもしれないけど、最初で最期の二人の恋は確かに幸せだったのだと思います。
心に響くセリフも多くて、涙…。
とくに葛木先生の言葉は重かったです。
「未来はなくても今がある」
一生懸命に生きて、一生懸命に恋をした二人。ぜひドラマ化してほしい作品です。