あらすじ
「すまなかった」
新米修道女になった公爵令嬢サーラの前で頭を下げている男性――かつて彼女の婚約者であった、王太子カーティスだ。
聖女の生まれ変わりを自称する男爵令嬢エリーに夢中になったカーティスは、サーラに、婚約を破棄すると言い放った。
突き付けられた罪状は、すべて冤罪だったけれど――。
疲れ果てていたサーラは、それを受け入れた。激怒した両親に修道院に送られるも、これでようやく静かに暮らせると安堵するサーラ。
それなのに、なぜかカーティスが修道院に現れて謝罪する。いまさらそんなことを言われても、復縁なんて絶対にありえません。
「わたしのために何かしたいのなら、もう放っておいてください」
感想
元婚約者カーティスの謝罪から始まるので、「許されるために謝ることはただの押し付けにしか過ぎない!」「なんでこんなにも話が通じないのか!」とイラっとしたけど、想像していたよりもずっと奥深くて温かい作品でした。
それぞれに訳アリな過去があって、傷ついた心を出会いによって悩みながらも癒していく…温かい人間模様や成長が丁寧に描かれていて、引き込まれました。あれだけ自分本位だったカーティスが成長を遂げるというところも。
サーラの家族も王族も腐っているし、タイトルから大きなザマァがあるんだろうと思っていましたが、そうではなく自業自得の結末というところも、この優しい作品に合っていると思います。
ハラハラドキドキするようなことはなかったけど、良いものに触れたと思える作品でした。