あらすじ
夫の愛人に子が出来たため、不妊の烙印を捺され離縁された男爵家令嬢のクロエ。
実家にも居場所がなく修道院いきを覚悟していたところ、有能だけれど常に仮面を被り『妻殺し』の異名を持つ侯爵ロランから求婚が!
怯えながらも再婚したクロエを待っていたのは、今まで経験したことのない甘い新婚生活で!?
感想
一度も夜を共にしたことがないのに、夫の愛人に子ができたため、不妊を理由に離縁されたクロエ。
そんなクロエが、父から命じられた次の嫁ぎ先は、娶った妻を三人も殺したと噂のロラン侯爵でした。
父の命令に逆らえないクロエは「四人目の犠牲者になるかもしれない…」と怯えながら、ロラン公爵邸に向かいますが…という始まりです。
タイトルから軽めのストーリーを想像していましたが、思っていたよりもずっと深く壮大なストーリーで嬉しい誤算でした!
探し続けていた初恋の人と結婚して幸せな生活…とはいかず、ここから意外な方向へ発展していき、想像を超えた展開になっていくのです。
それが、ロランが仮面をしている理由、なぜクロエを想い続けてきたのに三人も妻がいたのか…にも関わってくるのですが、犠牲になってきたロランの生い立ちが可哀想で。
皇太后もロランのことを想って、国を想って行ったことだとしても、それが自分よがりではね。
ジャンルは違うけど、ふと「すべては子どものためだと思ってた」という漫画を思い出しました。ただし、皇太后の最期は潔かったです。彼女の決断はまさか…!でしたが。
クロエの元夫とその愛人、クロエの父たちへの制裁もあってスカッとし、何よりもロランの一途な愛に感動。ストーレートに愛を囁くところも好みでした。彼の側にいることで、クロエが自信を持ち始めるところも。
内容はシリアスだけど、クロエとロランの揺るぎない愛に心が温まり、じゃじゃ馬令嬢マルグリットや執事のつぶやきに笑って、重めのストーリーなのに暗くなりすぎず面白かったです。