【ネタバレ感想】“子供の幸せのため”という狂気「すべては子どものためだと思ってた」は不幸な未来を予感させる結末だった。

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あらすじ

専業主婦の土井くるみは長男・こうたに特別じゃなくても普通の幸せをつかんでほしいと考えていた。


しかし、こうたは体が弱く、自己主張もあまりしないことから小学校のヒエラルキーが下であることを知ってしまう。


また、こうたが進学予定の地元の中学校は生徒の素行のせいで評判が悪いということを知ったくるみは、親が行動しないと子どもに普通の幸せを与えられないという思いからこうたの中学受験を決意する。


受験勉強を頑張るこうたのために様々な情報を仕入れて実践していくくるみ。


だが、くるみの思いはこうたを、家族を次第に追い詰めていくのだった――。


感想

自分のコンプレックスから“幸せのためだから”と息子を管理し始め(友達とか勉強とか)、しだいに家族を追い詰めていく…というストーリー。


何が恐ろしいって、母親が“子どものためだ”と信じているから、子供の心が壊れていっていることに気付かないところ。というよりも、気付いても“幸せになるために今必要なこと”と思っているから、子どもの気持ちなんて無視。


耐えられなくなって引きこもった息子を、外に出そうと取った言動が狂気でした。


そんな狂気的な母親ですが、実は息子だけではなく娘もいるんです。でも管理しているのは息子だけ。まったく関心を持たれなかった娘と管理された息子が起こした行動と気持ち……二人の心の声が読んでいて辛かった(かなりリアル)。


結末もリアルで、母親は変わることはないだろうし(「変わるから」と言ってたけど)、娘も息子も同じ行動を取ると予感させるものでした。


学生の時(福祉関係の心理学を専攻)に先生が「全員が全員、最初から虐待をする親だったわけではない。“子供”を愛するあまり不安になって、結果的に虐待をすることもある」と言っていたのを思い出した。


まさにそういう作品で、誰しもがこの母親のようになる可能性があることだなと。読んでいて辛くなるシーンもありますが、ぜひおすすめしたい作品です。