
あらすじ
東京での華やかな暮らしに憧れて田舎から上京した美春は、大学で出会った裕福な同級生との経済格差に打ちのめされ、「もっとお金があれば」と不公平感を抱くようになる。
状況を変えようと大学2年でミスコンに出場し、見事準グランプリを獲得。さらに、そこで出会った友人に誘われ、若さと美しさを武器にする"ギャラ飲み"の世界へと足を踏み入れる。
港区女子として振る舞い、稼ぐことにやりがいを覚える日々だったが、やがておごられる額やランクが自己価値と結びつき、心は歪んでいく。
アラサーになり、稼げなくなっていった美春は、若さを取り戻すために整形を決意する。「もっとキレイになりたい」その思いはいつしか、美春を這い上がれないほどの沼に引きずり込んでいき――。
感想
せっかく憧れの東京で暮らすことになったのに、現実はキラキラとは無縁のバイト三昧。
そんな理想と現実の差から、港区女子になってしまった美春。
どんどん港区に染まって、性格も悪くなるんだけど、堕ちていっても“ざまぁ”なんて思えなかった。
彼女を心配する家族がいて、友達がいて、美春自身も苦しんでいたから(おばあちゃんの最期の言葉とお母さんの言葉は泣けた)。
最終的に、美春はやり直すことができたんですが、港区女子ではなくなった美春の『気づき』は、読者に“幸せ”や“自分の価値”とは何かを教えてくれるものだったと思います。
その一方で、まだ負のスパイラルから抜け出せない乃愛が印象的(美春を港区女子に誘った女)。
これがよく言われる「港区女子の悲惨な末路」みたいなやつなのかな。
あんなにキレイだったのに、もっと堕ちていくんだろうな…と予感させる最後だった。