
あらすじ
レヴァーゼ王国・第六王女ウエンディは、姉の身代わりで『野蛮』と揶揄される国へ人質のように嫁がされることになった。
生まれてから15年間、存在ごと忘れ去っていたくせに?
放置しておきながら、『呪われた子(無能の駒)』扱い?
だから前世の記憶があるウエンディは憤り、決めた――祖国をぶっ潰すと。
「これが復讐とは――誰も気づかないでしょうね」
無能王女を演じ、登場人物すべてを驚愕させる復讐譚、開幕!
感想
最低限の衣食住のみとメイドが一人だけという環境で育った“忘れられていた第6王女”ウエンディ。
そんなウェンディが初めて認識してもらえたのは、姉の身代わりで『野蛮』と揶揄される国へ人質のように嫁がされた時。
これは、そんなウエンディの復讐物語です。
正直、ここ最近読んだ作品の中で一番胸にグッとくる作品でした。
復讐物語ではあるけど、誰しもが想像するような“復讐”ではなく、“復讐”が持つ意味が深い。
そして、前世の知識がなければ、そもそも復讐どころではなかったけど、前世の知識をあえて活かさず、無能で無知であることを演じるところも面白い。なぜなら、それが目的を果たすために必要となるから…。
誰かを利用することもなく、巻き込むこともなく、自分の手で自分が思う復讐を果たそうとするウェンディの強さ。そんなウェンディで唯一涙を流したラストに感動でした。
孤独でも、忘れ去られても涙することシーンが一度もなかったので余計に。
生まれたときからずっとウェンディのそばにいた侍女オリーブの想いが分かるラスト。彼女がどんな想いでずっとウェンディに仕えてきたか分かるシーンは、みんな号泣だと思う。