あらすじ
幼い頃から控えめなあまり、自分に自信を持てないでいる主婦、翔子。
いつのまにか、夫の顔色を伺いながら、生活するようになってしまった…。
離婚したいと思わない日は一日としてないけれど、貯金も仕事もない身で、2人の子どもを育てる自信はなく、ぼんやりとした日々をすごすばかり。
そんなある日、現状を招いたのは幼いころの自分に原因があるのがわかり、少しずつ、前を向いて歩き出せるようになるのだが…?
感想
夫の機嫌を損なわないように、顔色を伺いながら生活をする翔子と、そんな妻をだんだん見下すようになっていた夫。
ついに翔子は、ストレスで体調が悪くなり心療内科に行くわけですが、彼女の転機はそこ。
なぜ「家庭の平和を守るためには、夫に反論してはいけない」なんていう考えを持っているのか、それがどれほど自分を苦しめていたのか。
ということに気付くわけです。それによって少しづつ翔子は変わっていくわけですが、こういう問題が両親だけのものではない!ということがよく分かるエピソードが“5年後のエピソード”。
実は5年後のエピソードは、翔子の娘の目線で描かれているんですが、正直読んでいて辛かった。
両親のゴタゴタは、状況がよく分からない娘の心にもはっきりと影を落とすんですね。
幼い娘が“家族”というものに複雑な気持ちを抱えつつも、それでも「よかった、きょうもこの家に帰れる」と。
きっと翔子たちが知らないであろう、彼女の密かな願いが叶うといいなと思います。