あらすじ
「お前みたいな醜い女と結婚するもんか!」幼い頃の婚約者の言葉がトラウマとなり、全身を鎧でまとった令嬢・モアネット。
年頃になっても一人(と一匹)で暮らしていた。そんな時、元婚約者の王子とその騎士・パーシヴァルが訪れる。
なんでも、王子が不幸に見舞われすぎており、原因はモアネットが呪いを掛けた事だと告げられて……!?
「素顔は見せません!」
「この鉄塊が!」
心は乙女の鉄塊が魅せる、究極のラブ・コメディ!
感想
『国民のために尽くしてきたのに、呪いにより“最悪な王子”として国民に嫌われるようになった元婚約者の王子』と『元婚約者である王子のせいで“重装令嬢”となったモアネット』。
彼とその護衛騎士・パーシヴァルに頼まれて、“誰が王子を呪ったのか”“なぜ呪ったのか”を探る旅に同行することになったモアネットですが、3人の会話がめっちゃ面白かった!!
サプライズでピエロが部屋に入って来るとか、座っていたイスが壊れるとか、そんな不運に見舞われる王子がボケだとしたら、モアネットの辛辣な対応がツッコみ。そこにパーシヴァルが絡むという笑
そんな感じで前半はかなり笑える感じです。ただ、そんな笑いの中にも王子の不穏な噂や、呪われてるのは王子だけのはずなのに、モアネットの顔を誰も覚えていない(婚約者だった王子でさえ覚えていない)…という謎があったり。
後半になると、モアネットの顔を誰も覚えていない理由や、王子を呪った犯人にグッと迫るわけですが………明らかになった真相は王子にとってもモアネットにとっても辛いものでした。
恨まれていないのに、呪われて人生を狂わされた王子とモアネット。行き場のない悲しみと怒りに苦しむ王子が本当に痛々しくて。
だけど、ストーリーとしてはその答えが導き出されるまでの展開も、その理由も伏線回収も秀逸だったと思う。
なんなら、パーシヴァルがモアネットに恋をしたことだって。読み始めは、王子とモアネットがもう一度…?と思ったけど、途中からモアネットの相手がパーシヴァルであることに意味があるんだと。
ちなみに、パーシヴァルの告白は彼らしく誠実でストレートでキュンとしました!!