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あらすじ
男爵令嬢フィーナは亡き父に代わって領地経営に奮闘していた。
「立て直し公」こと公爵レオナールの施策を参考にし、国を回る彼をこっそり師と仰いでいた。
その彼がついに男爵領を訪れることに!
彼の手腕や人柄に触れ、憧れは恋へと変化していき……。
しかしフィーナは婿を迎えねばならない身。
だから経営の勉強に努めていたのにレオナールはそんな彼女を見て嬉しそうで!?
結ばれないはずの距離を大逆転するピュアラブ!
感想
領主である父を事故で亡くし、弟は重症で寝たきり。精神的に参ってしまった母は弟の傍を離れない。
みんなと同じように父の死を悲しみたいだろうに「危機的状況(敗戦後なので)にある領地のために泣いてはいられない」と領地立て直しのために奮闘するフィーネ。
このフィーネが並々ならぬ頑張り屋で。領地立て直しのためにやってきた「立て直し公・レオナール公爵」の手腕に、自分の不甲斐なさを痛感したり、弱音を吐きながらもひたむきに努力をし続けるのです。
そんな明るく前向きなフィーネですが、読み進めていくと彼女の危うさが明らかに。過去のトラウマや母とのすれ違い…そんな彼女の複雑な事情に気付いたレオナール公爵、フィーネの気持ちに寄り添い誠実な対応。辛いことを飲み込んで頑張ってきたフィーネが初めて見せた涙に切なくなりました。
そんな二人が少しずつ距離を縮めていき、それぞれが恋を自覚する。その過程に人間らしさがあって、温かくて素敵だった。それに、レオナール公爵がフィーネのことに関してだけ、やらかしちゃうところも面白くて。
領地経営に女が口を出せない国で、フィーネの努力が報われるラストにも拍手です。