戦死した兄の妻をめとった徳馬。
徳馬と嫁が「本物の夫婦」になるまでの物語かと思いきや…
想像もつかないほどのハラハラ展開に。
上巻では、あんなにほのぼのしていたのに下巻は、まるで違う漫画を読んでいるような感覚でした。
そんな「だんだん街の徳馬と嫁」あらすじや感想(ネタバレあり)を書いていきます。
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あらすじ
今日俺は―――兄ちゃんの妻やった女をめとった。
終戦後、間もない鉄の街――福岡県八幡町。
不甲斐ない自分の代わりに戦争に行った兄「義一」が戦死してしまい、徳馬は密かに憧れていた兄嫁「万火子」をめとることになります。
ゆっくりでいい…ゆっくり「当たり前の夫婦」になればいい。
これから毎日繰り返す、おやすみ、おはよう、ただいま…積み重ねていく日々の営みが、俺らを本物の夫婦にしてくれるはずや――だんだんとだんだんと…。
そう思っていた徳馬でしたが、ある晩での一件により万火子の心の内を垣間見てしまいます。
「義一さん…義一さん…ごめんなさい。」
そう涙を流す万火子を優しく抱きしめる徳馬。
万火子の兄への気持ちを知った徳馬は落ち込み…それが原因で失明に近い怪我を負ってしまいますが、
このことを機にギクシャクしながらも少しづつ「本物の夫婦」に近づいていきます。
しかし、兄の死から二年が経ち…ちゃんと家族になろうと誓った二人に思いがけないことが。
なんと、戦死したと思っていた兄が帰ってきたのです。
感想(ネタバレあり)
この漫画は上巻・下巻と分かれていて、上巻は突然夫婦になった二人が
兄の影を背負いながらも少しづつ夫婦になろうとする日常が描かれています。(この時代はお互いの気持ちよりも〝家〟同士の結婚が普通だったので兄が亡くなったことで徳馬が兄嫁をもらいました)
最初こそ、万火子の表情は硬かったのですが、徳馬との毎日を過ごすうちにだんだんと和らいでいって…
あー…この漫画は本物の夫婦になっていく話なのかな…と思っていました。
しかし、そんな日常は下巻で一変してしまいます。
まさかの兄が帰ってくるのです。戦死してなかったということですね。
兄が帰ってきたことにより、交差する三人の想い…そして、徳馬にとって優しく憧れでもあった兄の知られざる秘密…兄のために手を汚す(犯罪)徳馬。
上巻からは想像がつかないほどのハラハラする展開になってしまいます。
自分の嫁が弟の嫁になっていて、居場所がなくなってしまった兄「義一」。
「自分なんか死んでしまえばよかった」と呟くシーンが辛かった…。
誰も悪くない…誰も悪くないんですけどね。
悲しいのか切ないのか…複雑な気持ちになってしまいました。
最後になりますが、ラスト近くになると多分読み手側の抱く感情がそれぞれ違ってくると思います。
でも、私はこのラストで正解だったんじゃないかな…と。
ハッピーエンド!とは言いがたいかもしれないけど、ある意味ハッピーエンドだと思います。
特に万火子の最期。
これは下巻の途中にある万火子の母の最期からの繋がりになりますが、これがずっと徳馬が望んでいたことでもあり…この物語の全てだと思いました。(引用元:藤見よいこ「だんだん街の徳馬と嫁」より)