チセの首に手をかけたチセの母。
人ならざるものが常にそばにいる状態で追い詰められたから…と思っていましたが、どうやら違ったようです。
9巻は母として娘を想う気持ちと後悔と謝罪と…チセの母親の複雑な心境が描かれていました。
今回は、そんな9巻のあらすじと感想です(ネタバレあり)。
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あらすじ
チセを守るためにステラ(実際はカルタフィルスに操られていた)の命を奪おうとしたエリアス。
それを知ったチセはエリアスに対して怒りを露にし、カルタフィルスの元へ行きます。
カルタフィルスがチセとの取引を望んだ理由――…それは互いにかけられている強力な呪い。
ひたすら身体を壊されて生き続ける呪いを受けているカルタフィルスと
再生させられながら死に向かう呪いを受けているチセ。
カルタフィルスは、チセの体と呪いが融合している腕を自分に移植させたら、今度こそ上手く均衡が保てるのではないのかと考えたのです。(現在カルタフィルスの左腕は腐っています)
「……この腕をそのまま移せばいいの?」
そうカルタフィルに問うチセ。
そんなチセにカルタフィルスは
「拒絶反応が気になるし先に目玉を交換して慣らそうかな」
と答えます。目を交換されてフラつくチセをベッドに寝かせるカルタフィルス。
そして…
「――君の目に残ってる力を借りるね」
「……ツ…!?なに…を」
気が付くと、そこは懐かしくよく知っている部屋……そしてそこに現れたのは…
「おかあ…さん…?」
そうです、カルタフィルスはチセへの嫌がらせでチセが思い出したくない過去を見せているのです。
悲痛な表情で、幼少期の自分と母のやりとりを見るチセでしたが
母の楽しそうな笑顔を見て
(…そうだ あんな顔してすごく嬉しそうに笑う人だったんだ…)
人ならざるものが近付いてこない体質を持つ父と弟が居て、幸せに過ごしていたあの頃…
しかし、その生活はある事をきっかけに一変します。
それは、父親が弟を連れて家を出て行ってしまったこと。
それ以来、チセと同じ体質(人ならざるものが近付いてくる体質)を持つ母は次第に追いつめられていき――
そして…
「貴方なんて産まなきゃよかった」
と涙を流しながらチセの首に手をかけるのでした。
しかし、チセの涙に我に返り…ベランダに手をかけ…自ら命を絶ちます。
カルタフィルスにより辛い過去を見せられたチセ…
しかし、色々な人々に出会ってきたことで自分の呪い(チセの記憶が作り上げてしまった母)とようやく向き合うことができるようになるのでした。
「ありがとう。あの時あの手を離してくれて。許せないけど、私はまだ…貴方を忘れないけど…――貴方を置いて前に進むよ」
こうして、呪いと向き合うことができたチセはカルタフィルスが何故、何千年の「助けて」と叫び続けているのかを知るために、
カルタフィルスと同じ手段で二人(カルタフィルスとヨセフ)の記憶を見ます。
「――私は知らない。貴方たちがどうしてそう望んでいるのか。そう思っているのにどうしてこんなことしてるのか――してきたのか…だから知りにいく――」
墓堀りをしていたヨセフは、ある日「たすけて」という声を耳にします。
その声の主はカルタフィルス。
何故死なないのか不思議なほどの体をしているカルタフィルスを手厚く看病をするヨセフ…
それ以来、ヨセフはカルタフィルスを助ける方法を必死に探すのでした。
しかし、様々なことを試しているのに治らない…でも朽ちもしないカルタフィルスにどうしていいのか分からなくなってしまいます。
「僕は君を助けたかった。君には僕しかいないのに…僕は……」
と顔を手で覆うヨセフ。
そしてあることを思いついてしまいます。
それは――
治らないだけで死なないカルタフィルスと体が生きているヨセフ…
「一緒になればいいんだよ」
こうして一体となったカルタフィルスとヨセフでしたが、終わらない痛みに―――…
「嫌だ 嫌だ たすけて たすけて だれか」
目を覚まし、チセに記憶を見られたことに怒り狂うカルタフィルス。
そして、チセに襲いかかり――…!!!(引用元:ヤマザキコレ「魔法使いの嫁」より)
感想
今回はかなり濃い内容でした。
チセの母親がチセの前で自殺してしまったという描写は以前にもありましたし、チセを殺そうとしたというのもありましたが…
チセを守ろうとして守ろうとして追いつめられていたことが分かりました。
人ならざるものが常にいる状態に追いつめられていたわけではなかったのですね。
頑張って頑張って最後にダメになってしまった―…「許してね」という言葉には、チセに手をかけたことだけではなく「もう守れなくてごめんね」という意味も含まれていたと思いたいです。